雲亭日本古典図書室収録作品の一覧

石巻への道

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おくのほそ道 / 松尾芭蕉 / 第28節 / 全56節

十二日、平泉を目指した。

本文 現代語訳

十二日平泉と心さしあねはのまつ緖だへの橋など聞傳へて人跡まれに雉兎蒭蕘の行かふ道そこともわかず終に道ふみたがへて石の卷といふ湊に出づこかね花さくとよみて奉たる金花山海上に見渡し數百の廻船入江につたひ人家地を爭てかまどのけふり立つゝけたり思ひかけず斯る所にも來れる哉と宿からんとすれどさらに宿かす人なし漸くまどしき小家に一夜をあかして明れば又しらぬ道まどひ行く袖のわたり尾ぶちの牧まのゝかや原などよそめに見て遙なる堤を行く心ぼそき長沼にそふて戶伊麻といふ所に一宿して平泉に至るその間廿余里ほどゝ覺ゆ
十二日、平泉を目指した。姉歯の松、緒絶えの橋などの話を聞きながら、人影も少なく、雉や兎、草や薪を取る人の通う道へ入る。道がどこにあるかも分からず、とうとう踏み違えて石巻という港へ出た。「黄金花咲く」と歌に詠まれた金華山を海上に見渡す。数百の船が入り江に連なり、家々が場所を競って立ち、かまどの煙が続いている。思いがけずこのような所へ来たものだ。宿を借りようとしても貸す人がおらず、ようやく貧しい小さな家で一夜を明かした。翌朝も知らない道を迷いながら、袖の渡り、尾駮の牧、真野の萱原などを遠くに見て、長い堤を歩いた。心細い長沼に沿い、登米という所で一泊して平泉へ着く。その間、二十里余りあったように思う。
原文 / 転記元の異文注を整理

十二日平泉と心さしあねはのまつ緖だへの橋など聞傳へて人跡まれに雉兎蒭蕘の行かふ道そこともわかず終に道ふみたがへて石の卷といふ湊に出づこかね花さくとよみて奉たる金花山海上に見渡し數百の廻船入江につたひ(一本つどひトアリ)人家地を爭てかまどのけふり立つゝけたり思ひかけず斯る所にも來れる哉と宿からんとすれどさらに宿かす人なし漸くまどしき小家に一夜をあかして明れば又しらぬ道まどひ行く袖のわたり尾ぶちの牧まのゝかや原などよそめに見て遙なる堤を行く心ぼそき長沼にそふて戶伊麻といふ所に一宿して平泉に至るその間廿余里ほどゝ(一本ほどノ二字ナシ)覺ゆ

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