雲亭日本古典図書室収録作品の一覧

山越え

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おくのほそ道 / 松尾芭蕉 / 第31節 / 全56節

主人が言うには、ここから出羽へは大山を隔て、道もはっきりしないので、道案内を頼んで越えた方がよいという。

本文 現代語訳

主の云く是より出羽國に大山を隔てゝ道さだかならざれば道しるべの人を賴みて越べきよしを申すさらばと云て人を賴侍れば究竟の若者反脇差をよこたへ樫の材を携へて我らか先に立て行くけふこそ心危きめにも逢へき日なれと辛き思ひをなして後について行く主のいふにたがはず高山森々として一鳥聲きかず木の下やみしげりあひて夜行かごとし雲端に土ふる心地して篠の中ふみ分〳〵水をわたり岩に蹶て肌につめたき汗を流して最上の庄に出づかの案內せしおのこ云やう此道必不用の事あり恙なう送まいらせて仕合したりと悅び別れぬあとに聞て申す人むねとごろくのみ也
主人が言うには、ここから出羽へは大山を隔て、道もはっきりしないので、道案内を頼んで越えた方がよいという。そこで頼むと、たくましい若者が、反りのある脇差を差し、樫の棒を持って先に立った。今日はきっと恐ろしい目に遭うのだろうと、つらい思いであとをついていく。主人の言葉どおり、高山は深く茂り、鳥の声一つ聞こえない。木陰は暗く、夜道を行くようだ。雲の端から土でも降るような心地で、笹を分け、水を渡り、岩につまずき、冷や汗を流して最上の庄へ出た。案内の男は「この道はいつも厄介なことがあります。無事にお送りできて幸運でした」と喜んで別れた。あとでこの話を聞く人も、胸をどきどきさせるほどだった。
原文 / 転記元の異文注を整理

主の云く是より出羽國に大山を隔てゝ道さだかならざれば道しるべの人を賴みて越べきよしを申すさらばと云て人を賴侍れば究竟の若者反脇差をよこたへ樫の材を携へて我らか先に立て行くけふこそ心危きめにも逢へき日なれと辛き思ひをなして後について行く主のいふにたがはず高山森々として一鳥聲きかず木の下やみしげりあひて夜行かごとし雲端に土ふる心地して篠の中ふみ分〳〵水をわたり岩に蹶て肌につめたき汗を流して最上の庄に出づかの案內せしおのこ云やう此道必不用の事あり恙なう送まいらせて仕合したりと悅び別れぬあとに聞て申す人(一本聞きさへトアリテ申す人ノ三字ナシ)むねとごろくのみ也

AI試訳 / 専門家未校閲