雲亭日本古典図書室収録作品の一覧

しのぶの里

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おくのほそ道 / 松尾芭蕉 / 第17節 / 全56節

翌朝、しのぶもぢ摺の石を訪ね、忍の里へ行った。

本文 現代語訳

明くれば、しのぶもぢ摺の石を尋ねて、忍の里に行く。遥か山陰の小里に、石半ば土に埋もれてあり。里のわらべの来て教へける。「昔はこの山の上に侍りしを、往来の人の麦草を荒らして、この石を試み侍るを憎みて、この谷に突き落とせば、石の面下さまに伏したり」。さもあるべきことにや。
翌朝、しのぶもぢ摺の石を訪ね、忍の里へ行った。遠い山陰の小さな里で、石は半ば土に埋まっている。里の子どもが来て教えてくれた。「昔は山の上にあったのですが、通りがかりの人が麦や草を荒らして、この石で染めるのを試すので、それを嫌って谷へ落としたら、石の表が下向きになったのです」。そういうこともありそうだ。
早苗とる 手もとや昔 忍ぶずり
早苗を摘み取る、その手つき。昔のしのぶ摺りの作業が、そこに重なる。
原文 / 転記元の異文注を整理

明れはしのぶもぢ摺の石をたづねて忍の里に行く遙山陰の小里に石なかば土に埋れてあり里のわらべの來て敎へけるむかしは此山の上に侍りしを往來の人の麥艸をあらして此石を試み侍るをにくみて此谷につき落せば石の面下さまにふしたり(一本ふしたりといふトアリ)さもあるべき事にや

早苗とる手もとや昔忍ぶずり

注

しのぶもぢ摺
染め模様と心の乱れを重ねる歌語。『伊勢物語』の冒頭にも、しのぶ摺りの狩衣と歌が現れる。ここでの接続は、直接引用の断定ではなく同じ題材の比較。
里のわらべの説明
本文に記された伝承として訳した。石の移動が実際に起きたかを独立に確認した説明ではない。

AI試訳 / 専門家未校閲