雲亭日本古典図書室収録作品の一覧

白河の関

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おくのほそ道 / 松尾芭蕉 / 第13節 / 全56節

落ち着かない日々を重ね、白河の関に来て、ようやく旅の心が定まった。

本文 現代語訳

心もとなき日数重なるままに、白川の関にかかりて旅心定まりぬ。「いかで都へ」と便り求めしもことわりや。中にもこの関は三関の一にして、風騒の人、心をとどむ。秋風を耳に残し、紅葉を俤にして、青葉の梢なほあはれなり。卯の花の白妙に、茨の花の咲き添ひて、雪にも越ゆる心地ぞする。古人、冠を正し、衣裳を改めしことなど、清輔の筆にとどめ置かれしとぞ。
落ち着かない日々を重ね、白河の関に来て、ようやく旅の心が定まった。昔の人が「何とか都へ」と便りを届ける機会を求めたのも、もっともなことだ。とりわけここは三関の一つで、詩歌を愛する人が心を留める場所である。古い歌の秋風が耳に残り、紅葉の姿を心に思い浮かべると、いま目の前にある青葉の梢までしみじみと感じられる。白い卯の花に茨の花が咲き添い、雪の中で関を越えるようだ。昔の人が冠を整え、衣服を改めたことなどは、清輔が書き残しているという。
卯の花を かざしに関の 晴着かな 曾良
卯の花を髪に挿す飾りとして、関を越える晴着にしよう。 曾良
原文 / 転記元の異文注を整理

心もとなき日數かさなるまゝに白川のせきにかゝりて旅心定りぬいかで都へと便り求めしもことわりや中にも此關は三關の一にして風騷の人心をとゝむ秋風を耳にのこし紅葉を俤にして靑葉の梢猶哀なり卯花の白妙に茨の花の咲そひて雪にもこゆる心地そする古人冠を正し衣裝(裳ノ誤也)を改めし事など淸輔の筆にとゞめ置れしとぞ

卯花をかざしに關の晴着哉  曾良

注

秋風を耳に残し
能因法師の白河の歌を思わせる語句。ここで目の前の季節が秋だと読まないよう、青葉との対照を訳に残した。
白川 / 白河
採用した翻刻は「白川」。見出しは一般に用いられる「白河」とし、原文欄には「白川」を残した。
清輔の筆
本文が挙げる清輔の記録は、今回の選録では原資料まで照合していない。その記述を史実の確認済み情報として広げない。

AI試訳 / 専門家未校閲