雲亭日本古典図書室収録作品の一覧

草加への道

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おくのほそ道 / 松尾芭蕉 / 第3節 / 全56節

今年は元禄二年であったか。

本文 現代語訳

ことし元禄にとせにや奧羽長途の行脚たゝかりそめに思立ちて吳天に白髮の恨を重ぬといへども耳にふれてはいまた目にみぬさかひ若生きてかへらばと定めなきたのみの末をかけ其日漸く早加といふ宿にたどり着にけり
今年は元禄二年であったか。奥羽への長い旅を、ふと思い立った。遠い旅の空の下で白髪の身の苦労を重ねることになるけれど、話に聞いてまだ見たことのない土地がある。生きて帰れたなら、という当てのない望みを抱いて、その日はようやく草加の宿に着いた。
瘦骨の肩にかゝれる物先くるしむたゝ身すからにと出立侍るを紙子一重は夜のふせぎゆかた雨具墨筆のたぐひあるはさりがたき餞などしたるはさすがに打捨がたくて路次のはづらひとなれるこそわりなけれ
まず、痩せた肩に掛かる荷物が苦しい。身一つで出ようと思っていたのに、紙子は夜の寒さを防ぐため、浴衣や雨具、墨や筆も必要である。断りがたい餞別も、やはり捨てることができない。それが道中の負担になってしまうのは、どうにも仕方がない。
原文 / 転記元の異文注を整理

ことし元禄にとせにや奧羽長途の行脚たゝかりそめに思立ちて吳天に白髮の恨を重ぬといへども耳にふれてはいまた目にみぬさかひ若生きてかへらばと定めなきたのみの末をかけ其日漸く早加といふ宿にたどり着にけり

瘦骨の肩にかゝれる物先くるしむたゝ身すからにと出立侍るを紙子一重は夜のふせぎゆかた雨具墨筆のたぐひあるはさりがたき餞などしたるはさすがに打捨がたくて路次のはづらひとなれるこそわりなけれ

注

元禄二年
1689年。実際の旅程を日ごとに記した日記ではなく、推敲を経た紀行文学として読みます。
紙子
紙を加工して作った防寒着。

AI試訳 / 専門家未校閲