雲亭日本古典図書室収録作品の一覧

多賀城の碑

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おくのほそ道 / 松尾芭蕉 / 第23節 / 全56節

もらった絵図のとおりにたどると、奥の細道の山際に十符の菅がある。

本文 現代語訳

かの畫づに任せてたどり行けばおくの細道の山際にとふの菅あり今も年々十符のすげごもを調へて國守に獻ずといへり
もらった絵図のとおりにたどると、奥の細道の山際に十符の菅がある。今も毎年、十符の菅で編んだむしろを作り、領主へ献上するという。
壺碑  市川村多賀城
壺の碑。市川村、多賀城。
つぼのいしふみは高六尺餘橫三尺ばかりか苔をうがちて文字幽也四維國界の數里をしるす御城神龜元年按察使鎭守府將軍大野朝臣東人之所里也天平寶字六年參議東海東山節度使同將軍惠美朝臣獦修造而十二月朔日と有り聖武皇帝の御時にあたれり
壺の碑は高さ六尺余り、幅三尺ほどで、苔の間から文字がかすかに見える。四方の国境までの里数を記し、この城は神亀元年に按察使・鎮守府将軍の大野朝臣東人が置き、天平宝字六年に参議・東海東山節度使・同将軍の恵美朝臣獦が修造した、十二月一日、とある。神亀元年は聖武天皇の時代に当たる。
むかしよりよみ置るうた枕多く語りつたふといへども山崩れ川流て道改り石は埋りて土にかくれ木は老て若木にかはれば時うつり代變じて其跡たしかならぬ事のみをこゝに至て疑なき千歲の記念今眼前に古人の心を閱す行脚の一德存命の悅び羇旅の勞れをわすれてなみだもおつるばかり也
古くから歌に詠まれた名所は数多く語り伝えられている。しかし山は崩れ、川は流れを変え、道は変わり、石は土に埋まり、木は老いて若木に替わる。時代が移ると、その跡の確かでないものばかりだ。ところがここでは、疑いようのない千年の記念を前にして、今、古人の心に触れることができる。旅の大きな恵みであり、生きている喜びである。道中の疲れも忘れ、涙がこぼれそうになった。
原文 / 転記元の異文注を整理

かの畫づに任せてたどり行けばおくの細道の山際にとふの菅あり今も年々十符のすげごもを調へて國守に獻ずといへり

壺碑  市川村多賀城

つぼのいしふみは高六尺餘橫三尺ばかりか(一本か字ナシ)苔をうがちて文字幽也四維國界の數里をしるす御城(一本城ハトアリ)神龜元年按察使鎭守府將軍大野朝臣東人之所里也天平寶字六年參議東海東山節度使同將軍惠美朝臣獦修造而十二月朔日と有り聖武皇帝(一本皇ノ字ナシ)の御時にあたれり

むかしよりよみ置るうた枕多く語りつたふといへども山崩れ川流て道改り石は埋りて土にかくれ木は老て若木にかはれば時うつり代變じて其跡たしかならぬ事のみをこゝに至て疑なき千歲の記念今眼前に古人の心を閱す行脚の一德存命の悅び羇旅の勞れをわすれてなみだもおつるばかり也

注

千載の記念
移り変わる風景の中で、碑の文字が昔と今をつなぐ。古人の心に触れる喜びが語られます。

AI試訳 / 専門家未校閲